INTERVIEWインタビュー
DANCE DANCE ASIA – 東京公演(2015/10-11)
アフターインタビュー
3組の海外グループを含む18組のダンスグループが、5日間に渡って約15-30分の中編作品を披露したダンス・ダンス・アジア東京公演。終演後の出演者の皆さんからのコメントをお届けします!
今回、中編作品を作ってみて苦労された点は何かありましたか?
s**t kingzは今までに単独公演のための約90分の長編作品を2演目上演しました。長編を作る時は、全体の流れ、転換の仕方、間を繋いでいくことを意識します。またこれまでの体験や、さまざまな舞台を観て受けた刺激を結集させるいい機会になります。困難もありますが、それ以上にすごくワクワクします。
フィリピンのPHILIPPINE ALLSTARSの印象はいかがでしたか?
ベトナムのグループ、S.I.N.Eの印象はいかがでしたか?
ダンサーが舞台作品を作る時に、ストーリーを盛り込むのは、よく思い浮かぶアイデアです。S.I.N.Eはそれにとどまらず、体の動かし方、歩いている方向、舞台上を照明で区切るなどの手法をうまく取り入れて、靴や衣装など、余計なものをつけずに、とてもシンプルに作品を作っていましたね。身体能力やスキルの素晴らしさを生かす作品にまとめていました。自然と彼らの動きや表現に目がいくように作られていてすごく好感が持てました。ただ単に音楽をガンガンかけてバトルやショーケースでかっこよさを見せるだけではなく、ブレイクダンスの魅力を舞台作品の中で紹介するひとつのかたちをS.I.N.Eのみなさんが僕ら日本人に見せてくれました。舞台作品を作りたいと思っている日本のB-BOYにも是非見てほしいと思いました。
タイのTHE ZOO Thailandのパフォーマンスはいかがでしたか?
shoji (s**t kingz) : 海外、特に東南アジアのダンサーは、同じ文化圏にいてもエネルギーの種類が違うと感じます。日本にはない独自のすばらしいエネルギーを個々が持っていて、見ていてすごく楽しいし、わくわくします。特にTHE ZOO Thailandのみなさんの公演は、動物の要素がパフォーマンスに入っていたと思いますが、「日本人だったらこういう声の出し方はしないし、ここまであからさまにやらないかもな」と、すごくストレートな表現のパフォーマンスが見ていてとても気持ちよかったです。
国境を越えて、これからのダンスシーンに期待していることをお聞かせください。
浦上雄次 (TAPDANCERIZE) : 今、世界中がダンスという言葉でつながっています。しかし、そのダンスがどこから来たのかを、自分も含めてもっと勉強する必要があります。例えば、ブレイクダンスはどういう文化から発祥したのか、また、マイケル・ジャクソンが憧れていたのは、伝説のタップダンサーのフレッド・アステアやニコラス・ブラザーズだったということを、若い子たちに教えてあげられると、もっとダンスに対する興味や意識が広がると思います。
SETO(SNAZZY DOGS) : 最近のアジアのダンスシーンは本当にエネルギーがすごい。少し前までは、アジアでは、日本人がトップというイメージがありました。いまそれを覆すほどのいいダンサーがたくさん出てきました。みんなで切磋琢磨して、アジア圏内のダンスが盛り上がっていけばいいと思います。もともとストリートダンスはアメリカが発祥ですが、そことは一線を画す、アジア人じゃないとできない、アジアならではの味がある。だから、アジアのダンサーが自分の国をレペゼンできることをやれば、ストリートカルチャーはもっと広がって、どんどん良いものになっていくと思います。
黄帝心仙人 (タイムマシーン) : DANCE DANCE ASIAのテーマはダンスを通じた交流です。それはすでに達成していると思います。そろそろ次のステップを目指してもいいんじゃないかな。まだ具体的なアイデアはありませんが、アジアのさまざまな地域に行ってお互いを知り合った上で、では次は何がつくれるのか。僕らもDANCE DANCE ASIAでクアラルンプールとジャカルタに派遣していただき、行く度に現地の方との有意義な交流がありました。次回は、交流の先の何かを、しっかり現地に残して、そして日本にも持ち帰っていきたいと思います。
伊藤今人 (梅棒) : 僕はもともと日本国内へのアピールを常に考えていて、積極的に海外に行こうという思考の持ち主じゃなかったんです。梅棒の作品は、いつも日本的な題材をJ-POPにのせて踊っていて、基本的にはノンバーバルなパフォーマンスです。2015年の3月にDANCE DANCE ASIAでタイに派遣していただいたときは、外国でどれだけ受け入れてもらえるのかなという不安がありました。でも、すごく温かく迎えられて、「伝わるんだ」という確信が持てました。DANCE DANCE ASIAに参加したことで僕らの思考の間口が広がり、自信にも繋がりました。海外で積んだ様々な経験や実績を活かして、これからも日本はもちろん、海外でも通用する作品を作っていきたいと思っています。
MIHO BROWN (Red Print) : 私たちは日本で生まれ育って、今までいろいろな音楽を心で感じて踊ってきました。日本のダンサー代表としてDANCE DANCE ASIAのジャカルタ公演への参加が決まった時は、世界の人と友達になれるような作品づくりを意識しました。ジャカルタでの観客の反応に、言葉を越えて、人間同士としてつながれるということを全身で感じることができました。また、海外の人は私たちにはないものを持っていて、それがすごく刺激的でした。私たちが全く予想していないところで会場が沸いたこともありました。本当にプラスになることばかりでした。
国際交流基金の方に支援していただいて、アジアの皆さんと会う時間や距離も縮めていただいた。こんな素晴らしい機会はなかなかないです。これからもたくさんの才能を持った若者や、年を重ねても新しいことにチャレンジする方、生きている間にたくさんいいものを吸収して、共有していきたいというエネルギーあるダンスを愛する人たちと、もっともっと交流して新しいダンスエンターテインメントの可能性を夢見ていきたいですね。本当に感謝しています。
YOSHIE (BIG4 / SNAZZY DOGS) : 今回のようにお互いの国の作品を直接観ることが、一番の交流だと実感しました。DANCE DANCE ASIAでは、刺激しあったり、お互いの良さを理解したり、アイデアをインスパイアし合ったりすることができ、とても素晴らしいなと思いました。私たちもDANCE DANCE ASIAの海外公演に参加したいなと思いますし、日本とは違う反応を体験してみたいですね。こういう直接的な交流をすることでアジアのダンスは絶対発展すると思います。
ストリートダンスを通じて世界と交流していく上で、これからこちらから発信していきたいことや、世界に伝えたいメッセージはありますか?
GUCCHON (Moreno Funk Sixers) : 海外で筋力と体力だけで勝負すると、正直僕らアジア人は欧米人、南米人に比べて弱いです。でも、ダンスは、筋力と体力だけではなく、音楽性やオリジナリティ、グルーヴ、そしてその人が持つ魂も重要な要素。ダンスでの勝負の仕方は数多くあり、そんな所も魅力的です。劣等感を持たず自信を持って、ダンスの魅力を発信していくべきです。
shoji (s**t kingz) : 最近日本のダンサーは海外で認められやすい土壌が作られているので、すごく海外に出やすい環境になっていると思います。日本では評価されないパフォーマンスでも、国境をまたぐだけで、多くの人の心を動かすことがよくあります。評価の逆輸入もとても影響力があるので、自分の価値観をぶつけて、評価されて、帰国してからおもしろいショーを作れたら、新しい風を吹かせることができると思います。これは日本に限ったことではないでしょう。世界とつながることでますますダンスがよくなっていくのが楽しみです。