INTERVIEWインタビュー
DANCE DANCE ASIA – プノンペン・カンボジア / ビエンチャン・ラオス (2015/12)
アフターインタビュー
Memorable Moment / 言葉に頼らず、気持をもっと伝えたい
ハノイ(ベトナム)ツアーに続いて、DANCE DANCE ASIAで2度目の海外公演を終えたMemorable Moment。今回のプノンペン(カンボジア)・ビエンチャン(ラオス)ツアーでは、公演やワークショップ、学校訪問などの活動の合間を縫って、街の様子も見られたそうです。街の印象や現地の人たちとのエピソードについて、リーダーのKAORIaliveさんと、メンバーのMamiさんに話を聞きました。
カンボジアとラオス、それぞれの街で印象に残ったことを教えてください。
Mami : カンボジアでは、撮影でプノンペン郊外にあるブッダパークという遺跡に行きました。カンボジアにはとても近代的な文化もありますが、その遺跡に行った途端に古代の雰囲気を感じてとても感動しました。そこに居合わせた現地の子どもたちと交流する機会があり、みんな最初はとてもシャイでしたが、一緒に撮影する中でどんどん笑顔があふれてきて、とても楽しかったです。
KAORIalive : ラオスはとても暖かくて居心地がよく、人柄も温厚でした。世界で一番美しい朝の風物詩といわれている托鉢を見に行ったり、街も散策したのですが、日本とラオスの国旗が一緒に並んでいるところがあり、「この道路は日本の支援で出来ました」、「この建物は日本が建ててくれました」と書かれていました。不発弾などで足が無くなった人たちの施設「コープビジターセンター」にも行きましたが、同じ敷地内にある体育館も日本政府の支援で建設されていて、日本とラオスはとても関わりが深い国なのだと感じました。
私たちは過去に「No War」という平和を求める作品を作っていて、その過程でコープビジターセンターの存在を知っていたので、DANCE DANCE ASIAでラオスに来たことは必然だと思い、訪問しました。ラオスにも戦争の被害に遭われた方が本当に多くいると感じ、次回、この作品を発表する時につながるものをたくさん経験できました。
ワークショップや学校訪問をして、どんな反応がありましたか?
Mami : 私たちのやっているジャズダンスというジャンルになじみがないようで、最初は「私はやらない」、「見ているから」という雰囲気でしたが、どんどん皆さんの気持があふれてきて、難しいと言いながらも、笑顔になって楽しんでくれました。踊った時に「フー!」と声が出たり、最後はハイタッチをしてくれるようになったりと、心がとてもオープンになって、皆さん盛り上がってくれました。
KAORIalive : 前回、DANCE DANCE ASIAツアーで行ったベトナムでは、皆さんしゃべるのが大好きで、ワークショップが始まる前から「練習はどのくらいやっているの?」など、たくさん質問してきました。カンボジアやラオスの皆さんは、最初はそれほど質問がありませんでしたが、こちらからコミュニケーションを取ることでどんどん変わっていき、3カ国とも、皆さんダンスが好きなことが伝わってきました。
学校訪問をしたラオスでは、初めは皆が座っていて、「この状態で本当にダンスするのかな?」と感じましたが、最終的には男の子も女の子も仲良く楽しんでくれて、大盛りあがりでした!
公演はどうでしたか?
Mami : 「孤高 kokou ~Trust Yourself~」という過去の作品を膨らませて20分の作品を作りました。最近は、携帯電話やインターネットなどが普及して、どうしても人とのつながりが浅くなってしまいがちで、とても寂しい気持になります。人と人とのつながりは目に見えませんが、そこにあるものはとても大切だということを伝えたいと思い、この作品を作りました。
今回は「つながり」や「情報」という部分も表現したかったので、仮面など小道具をたくさん使ってより伝わりやすく見えるように意識しました。
ストーリーがある私たちの作品が、どういう風にカンボジアやラオスで伝わるのか不安でしたが、温かい声援をいただいて、「よし、伝わるはず!」と確信しました。
びっくりしたのが、主役の二人が手をつなぐシーンで拍手が起きたことです。「あ、私たちの伝えたいことが伝わっているのだな」と感動しました。観客が私たちのことを受け入れてくれているので、私たちもそれに応えたいという思いがとても強くなりました。
KAORIalive : ラオスの皆さんは、ワークショップや学校訪問ではあまり感情を表面に出さないのかなと思いましたが、公演では私たちのファンクラブの人たちが集まったのかと思うくらいに歓声が大きく、本当に踊りやすかったです。
作品は国によって変えました。携帯電話やSNS依存がテーマだったので、実際にどのくらいの方がスマートフォンを持っているかをリサーチしたところ、ラオスの皆さんは持っている人も多いけれども、カンボジアよりは少ないということがわかりました。そこで、カンボジアや日本での公演ではスマートフォンは使いませんでしたが、ラオスではわかりやすさを出した方がいいと思い、スマートフォンを持って舞台にあがりました。
ビエンチャン公演でゲスト出演した現地のダンスグループ、FANGLAO DANCE COMPANY(ファンラオダンスカンパニー)とLAOBANGFAI CREW(ラオバンファイクルー)の印象を教えてください。
KAORIalive : FANGLAOは、私はとても好きです。彼らにも直接伝えましたが、コンテンポラリーダンスの要素とストリートダンスの要素、特にブレイクダンスの融合という新しいこともしているし、音にとても敏感な部分と、音をわざと外す部分をうまくミックスしていてとても面白かったです。彼らをプロデュースしている人たちともしゃべったのですが、フランスでもいろいろ活動していると聞き、とても魅力的だと思いました。私自身コンテンポラリーダンスもやっているのでとても興味深いグループだなと思いました。
LAOBANGFAI CREWは、ラオスで最初にできたストリートダンスグループで、メンバーの数がとても多いと聞きました。ダンスを教えてくれる人がいないためYouTubeを見て自分たちで研究していると聞き、これからもっと成長できるグループだと感じました。彼らがラオスのダンスシーンをどんどん盛り上げ、引っ張っていくと思いましたね。
今回のツアーからどのようなことを得られましたか?
Mami : DDAハノイ公演でも感じましたが、日本では「きっと伝わるだろう」という感覚でも、海外公演となると、シンプルに表現しないと伝わらないこともあると思いました。ワークショップでも通訳なしでは言葉が通じないので不安でしたが、踊っていくうちにお互いの感覚やエネルギーの交換ができたことがとても印象的でした。言葉だけに頼らず、踊りで気持ちをもっと伝えようという意識が高まりました。
KAORIalive : 国が違うし、育ち方やバックボーンも違うのに、こうやってダンスを通して出会い、通じ合えるというのは、本当に素晴らしいと思います。ダンスは言葉がいらないので、これからもいろんな国に行って、ダンスでコミュニケーションをとっていきたいです。
FANGLAOとも「何か一緒にやれたらいいね」という話をしましたが、他の国でもその国の人と一緒に作品が作れたらうれしいですね。私たちがこだわっている「美意識」、「間」、「シンクロ」など、日本の持っている良さとその国の良さをミックスして、1つの作品を作れたらいいなと思います。