DANCE DANCE ASIA – マレーシア・クアラルンプール
アフターインタビュー
タイムマシーン /国や国境に関係なく作品を残していきたい
タイムマシーンが描いた作品はまるで映画のようにドラマチックに心に余韻を残すものでした。現地入りしてからも、1分1秒を作品のために費やして過ごしていた彼ら。リーダーである黄帝心仙人が見据えているストリートダンスの可能性、その未来への想いの詰まったアフターインタビュー。
今回の作品創りはいかがでしたか?
黄帝心仙人 : 現代社会では、スピードがとても重視されていると感じます。いわゆる決断のスピードですね。ひとつひとつを丁寧に納得がいくまでやるというのは、僕の人生にとって非常に重要で、言ってしまえば欠けている部分かもしれません。
今回のツアーでは、結構無理を言わせてもらって、時間も目一杯使わせてもらいました。どちらがいいのかは人それぞれだと思いますが、今回は納得いくまでやらせてもらって、僕らも非常に満足のいくものができました。もちろん課題もありますが、いろんな方から本当にいいお言葉をいただいたので、やって良かったです。
この公演は、いろんな人たちの力をお借りしてできました。日本以上にちゃんとダイレクトな反応をもらえた、というのが率直な感想ですね。
マレーシアに関しては、ここ最近初めて行きましたが今まで交流はありませんでした。なので、今回は現地のダンサーと交流ができたのも有意義でした。
ストリートダンスの可能性をどのように捉えていますか?
黄帝心仙人 : ストリートダンスは、やっている本人たちはもちろんその可能性に魅了されてやっているし、何より楽しく、自分自身が楽しめるものだと思っています。
また、ストリートダンス以外のダンス、いわゆる身体表現と呼ばれるものの作品もよく観ますが、その中でもストリートダンスがダントツで人を感動させられるだけのポテンシャルを秘めていると思います。
ただ、料理で例えるなら、せっかくいい素材があったとしても、それを何倍にも膨らませられるようなスパイスや器具といった物にまだ恵まれていない。正直、ストリートダンサーを取り巻く環境の問題でもあるかなと思います。
たぶんそれは、ストリートダンスをやっている人たちが、どちらかというと、「別にそんなものに頼らなくたって、素材のままで十分美味しいじゃないか。それでいいんだよ。」という気持ちが強いからなのかもしれません。すごく良いダンスなのに、良い演出ができていない。ダイヤモンドが転がっているんだけど、転がっているだけ。「ちゃんとダイヤモンドをカットしてあげて」、「宝石箱に入れてあげて」。これは僕が普段よく言う言葉です。
宝石箱を開く瞬間から、包装、値段、プレゼントをする演出も含めて、ちゃんと価値を付ける人たちがいるんだけれど、そこに入りたがらないダイヤモンドがいるのかもしれない。自分たちでダイヤモンドになる価値もあるし、それだけの努力もしていると思っている人たちがいる。でもなぜか、それを見る人たちもまだ少ない。見る人たちも、ジルコニアもダイヤモンドも見分けがつかない人たちもいるし、その価値をちゃんと、自分自身でもわかってない人もいる。僕はそんな風に感じています。
これからの展望を教えてください。
黄帝心仙人 : TimeMachineという僕らの名前もそうですが、100年先、僕らがいなくなったとしても、日本だけでなく世界各国で作品が生き続けることができたらうれしいな、という風には思っています。表現する人は変わっても、作品にちゃんとメッセージがあって、思いを受け継いでくれるのであれば、国や国境に関係なく作品を残していきたいという思いはあります。
僕の次の夢のひとつは、グラミー賞を受賞することです。しかも、日本人で取ってない、4大部門を受賞することです。それは、このストリートダンスの可能性、ポテンシャルがあれば必ずできると思っていて、あと3年くらいで現実的になると思っています。
なぜならやっぱり、ストリートダンスにも欠かせない音楽の力と、そして僕らの視覚化する力、しかも、僕らにしかできないオリジナリティ。この融合で確実に世界中にそういったものをお届けすることができると思っています。そして、「僕らがなぜ生きているか?」「何を求めているのか?」といったメッセージを映画として表現することで、その先のアカデミー賞のようなものにつながると思います。グラミー、アカデミー、これが僕の当面の目標であり、その夢を叶えます。
Posted – 2015.08.12
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