DANCE DANCE ASIA – ジャカルタ・インドネシア (2015/08)
アフターインタビュー
Red Print / 声援とまなざしがエネルギーに
発足してまだ1年の彼女たちにとって、初の海外公演となったジャカルタツアー。ジャカルタで感じたことや、今後彼女たちが目指すものとは? Red PrintのメンバーMIHO BROWNさんと、演出を手がける大関真さんに聞きました。
公演を通してジャカルタのみなさんに伝えたかったことは何ですか?
MIHO BROWN : 言葉、文化、国境の壁がある海外で公演をするのは初めてでした。私たちはこれまでストーリーありきの作品を作っていたので、セリフを使わずダンスだけでストーリーを伝えることにたくさんの心配事がありました。同じ人間としてなるべく共通なものを意識してどこまで伝わるかを模索しましたが、一番には私たちのダンスとパフォーマンスをお客さんに楽しんでもらうことを目標にしました。
観客の反応はいかがでしたか?
MIHO BROWN : 本当に温かかったです。声援や熱いまなざしにエネルギーをもらい、とても感動しました。公演前にワークショップをしてジャカルタの皆さんと事前に交流ができたのも、とても良かったです。客席の最前列で見ていたお客さんが、ワークショップを受けてくださった方々で、ワークショップで教えた振付を私たちが公演中に踊ると、皆さんも一緒に踊ってくれました。
大関真 : その瞬間を楽しむのがうまいと思いました。インドネシアの人たちは、僕ら日本人が普段あまりうまくできていない「目の前にあることを全力で楽しむ」ということがとても上手です。それをオープンに表現してくれて非常に気持ち良かったです。日本人には奥ゆかしさがありますが、もっとオープンになっていったらいいなと思います。僕らもそうなってもらえるような作品を作っていくことが大事だと感じました。
ワークショップで一番印象に残ったエピソードを教えてください。
MIHO BROWN : 腕で草をかき分けるように動かす振付があって、それを教える時に「人生のつらいこと、邪悪な気持ち、自分の弱さなどの嫌なものをどんどんかき分けて、一筋の光に向かって行くという気持ちで踊ってほしい!」と伝えました。すると皆さんが「オー!」と納得してくれて、そこからダンスの動きに変化が表れ、心が解放されたように強く感じました。ダンスのスキルももちろん大事ですが、それ以上にとても熱い心の動きを見ることができて感動しました。
ジャカルタの子どもたちと交流していかがでしたか?
MIHO BROWN : 海外の子どもたちと現地で交流するのは初めてでした。アメリカンスクールの子どもたちと交流した経験はありましたが、彼らは日本語がわかっていたし、日本文化もわかっていました。対してこちらは100%インドネシアの子どもたちです。不安もありましたが、皆さんが私たちのことを自分自身で調べてくださっていると感じ、とても接しやすかったです。
事前に情報を調べていない子でも、コミュニケーションがとれると実感しました。それが今回の旅で私にとって一番の宝物ですね。
今回のジャカルタツアーに参加していかがでしたか?
MIHO BROWN : 言葉、文化、国境を越え、音楽とダンスが私たちを一つにするための答えを出してくれると感じました。自分は好きでダンスをやっていますが、仕事でもあるのでどうしても結果を出さなければいけないと思ったり、自分の中で越えなければいけないハードルを作ってしまっていたりしました。そして、それを乗り越えられず、ストレスを抱えていました。
しかし、ジャカルタに来て皆さんが「とても感動してくれているんだな!」と感じ、自分の良いと思う動きや音楽の捉え方など、忘れかけていたことをたくさん思い出しました。今まで悩んでいた無駄なものが省かれ、心が浄化されていくのを感じました。だから本当に感謝しています。
大関真 : 楽しかったですね。現地の人たちのパッションも素晴らしいし、Red Printとしてもいい勉強をさせていただきました。
今後どのようなパフォーマーを目指していきますか?
MIHO BROWN : 私たちのダンスを通して人間的な部分や生き様を見せていきたいです。自分たちのダメな部分も見せながら、物の見方や考え方を伝えられるパフォーマーでありたいです。そのためにはきっと、無限大に広がる宇宙のような自分の心と、その中にある世界観をちゃんと引き出すためのスキルが必要です。今後そのためのスキルを常に磨きながらも、熱い気持は見失わないようにしたいです。どんなに自分がダメな時も、良い時も、素直に舞台と音楽とダンスに向かい合って作品を作り、そこから自分たちの生き様を感じてほしいです。
大関真 : 僕が常に思っていることは「ダンサーと役者という分け方をするな」ということです。これはメンバーにもよく言っています。ダンサーであっても役者であっても、一人のパフォーマーであることには違いなく、感情表現という点では共通しています。役者はセリフというものを武器に表現をし、ダンサーは言葉を使わないで身体で表現をしているというその違いしかありません。Red Printではそのどちらもできるようになったら面白いと考えています。
そして、オリジナルのキャラクターをとても大事にしたい。ある振付をどのダンサーが踊っても同じでは面白くありません。日本人は全員が揃った動きで踊るユニゾンがとても得意です。それはそれで素晴らしいですが、海外のダンサーは個々のパワーが強く、それは日本人にはあまりないものです。だから、揃えることが重視される中で育ってきた僕ら日本人が、これから個のパワーを手に入れたら、もっと素晴らしい世界に通用するパフォーマンスへと繋がると思います。そういうオリジナルキャラクターを持ったプレーヤーがRed Printでどんどん育ってくれたらいいですね。
Posted – 2016.08.02
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