DANCE DANCE ASIA – バンコク・タイ (2015/03)
アフターインタビュー
東京ゲゲゲイ / どこも一緒。そこにいるのは一人一人の人間。
DANCE DANCE ASIAで初の試みとなる、現地の子どもたちやダンサーとの共同制作に挑んだ東京ゲゲゲイ。その時のエピソードや、創作への意欲を東京ゲゲゲイのリーダーのMIKEYに語ってもらいました。
フィリピンに続いて2回目のツアー参加でしたが、タイではどのような活動をされましたか?
MIKEY : DANCE DANCE ASIAではフィリピンに続きタイに行きました。タイでは現地の子どもたちに振付をして一緒のステージに立って踊ったり、現地のダンスグループのTHE ZOO Thailandとのセッションもあったり、ダンスを通して交流ができました。
最初にフィリピンに行った時に、街で遊んでいる子どもたちと出会い、道端で音楽をかけて一緒に踊りました。その触れ合いがとても刺激的で、楽しかったです。それで、次も現地の子どもたちと一緒に踊りたいと思い、今回それがステージで実現しました。
タイの子どもたちと実際に触れ合ってみた印象は?
MIKEY :
会う前に、スタッフの方から「リハーサルや練習というものをしたことがない子どもたちなので、もしかしたらリハーサルに来なくなるかもしれない。本番も来ないかもしれない。」と聞きました。私はそれでも楽しければいいかな、と思っていました。
ところが、リハーサルが始まったら、子どもたちは想像以上に練習をしてくれました。私たちとやっているリハーサルの時間とはまた別に、自主練習もするくらい、皆が熱心に取り組んでくれました。
あくまでダンスとステージを体験してもらいたかったので、踊れなくてもいいと思っていましたが、前の日に踊れなかった子が次の日には踊れるようになっていて、練習してきてくれているのだと思い、とても嬉しかったです。皆「もっと踊りたい」という勢いだったので、びっくりしました。
結局、本番までに来なくなった子はほとんどいませんでした。本番初日も堂々と楽しく踊っていて、とても感動しました。初めて子どもたちと会った時は、「何をされるのだろう」と緊張していましたね。2日目の練習に行った時には、「わー!」と抱きついてきてくれたので、「あ、何か受け入れてもらえたのかな?」といううれしさが生まれました。それからどんどん子どもたちと仲良くなっていくと、今度は別れるのが寂しいくらいの感覚になりました。
今回のDANCE DANCE
ASIAで将来ダンサーになりたいという夢を持った子どもが何人かいたみたいです。それはとても素晴らしいことだと思いました。
THE ZOO Thailandとコラボレーションした経緯を教えてください。
MIKEY : 前回マニラに行った時、現地で活躍されているダンサーの方と触れ合う機会があり、タイではその国で活動されているプロのダンサーとコラボレーションしたいと思ったのがきっかけでした。ただ、“東京ゲゲゲイワールド”という中で演出したかったので、男性のダンサーでセーラー服の女装という条件を提示しました。それを楽しんでやってくれるダンサーが、もしいればと。そうしたら、ノリノリで手を挙げてくださったのがTHE ZOO Thailandでした。実際に女装をしてもらう話をした時に、彼らのモチベーションが下がっては申し訳ないと思い、女装するか、そのままの自分たちのスタイルでやるかを選んでもらったら、「女装します!したい!」と言ってくれました(笑)。
彼らはゲイではないですし、もちろん普段から女装もしていないのですが、そこは切り替えてちゃんと演じて世界に入り込んでくれました。本当にプロフェッショナルなダンサーの人たちだと実感しました。
フィリピンとタイでの作品の違いについて教えてください。
MIKEY : ドラえもんはアジアでも大変人気だと聞いて、音楽の授業という設定で、ドラえもんのテーマ曲を歌うシーンを作品にいれました。フィリピンでもドラえもんのぬいぐるみを抱っこしてパフォーマンスをしましたが、タイではさらに大きなドラえもんが売っていたので、大きなドラえもんが上から落ちてくるという演出も新しく入れました。あと、フィリピンの時の衣装は日本のセーラー服でしたが、タイの制服を見たら色や形がとてもかわいかったので、今回はタイの女の子の制服で踊りました。
フィリピンとタイでは何が一番異なりましたか?
MIKEY : 私は逆にどこも一緒だと感じました。フィリピン人だとかタイ人だとかは言葉の違いであって、そこにいるのは一人一人の人間。国によっての違いというものを発見できませんでした。改めて、国じゃなくて一人一人の人間が地球に存在しているのだという感覚がありました。これはいろんな国に行く度に、毎回意識させられます。
今回のようにアジア域内のダンサーとコラボする機会について、どう考えますか?
MIKEY : 絶対にやりたいです。逆に他のアジアの人たちが日本に来て、日本で交流するということもやりたいです。日本に来て、一緒に踊ったり、お出かけしたりしてもいいです。
今後の展望について教えてください。
MIKEY : 作品を作る度に思うのは、作品や表現を商業的な観点でやるというのが、どうも苦手です。業界のいろんな人たちに「こうしたらもっと売れるのに」とアドバイスをもらうのですが、それができません。ある時期、「自分はプロフェッショナルではないのでは?」と思ったことがあります。ある時期は歌を歌いたい、ある時期は演出をしたい、ある時期は自分が踊りたいという風に、常に自分の感情や気分の中だけでやっているというのは、一流ではないと考えたことがありました。
でも、ここ2年くらいで、「いや、それでいいじゃないか、私の人生だもん」と思えるようになりました。周りに媚びなくても、常に自分の気持ちに嘘をつかず自分の作りたいものを作りたいと思いました。自分の感情の本物を、作ったり踊ったり歌ったりしていきたいです。
Posted – 2016.08.26
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